日立金属その1|期待外れの係長?!
「第15回第一線監督者の集い:福岡」で発表した日立金属 安来工場 帯鋼工場 精整検査 2係 係長 植田 誠二様にお話しを伺いました。
(聞き手:日本能率協会 斎藤由佳/以下敬称略、お役職はインタビュー当時)
斎藤
第一線監督者の集い:福岡でのご発表、ありがとうございました。本日は、ご発表の内容を少し詳しくうかがっていきたいと思います。まず、植田様の現在の社内でのお立場やお役割について、お聞かせいただけますでしょうか。
植田
私は、係長として44人の部下をマネジメントしています。
年代は20代から50代まで幅広く、各年代とも10人前後です。最近は20代の若手が増えていますね。
私のいる精整検査2係という職場では、製品幅にカットするスリットの係と、それを巻いて検査する検査の係を担当しています。
どちらも、製造グループの中では後の方の工程を担っています。
斎藤
植田さんご自身はスリッター係としてのご経験が長かったようですね。
植田
私自身は、スリッター係を24年経験しています。経験と知識だけは負けません。
しかし、もう1つの検査係の経験は2年。2つの係を受け持つことにった当初は、なんとかなるさ、という気持ちでした。
しかし、とんでもない苦労が待ち受けていたのです。
斎藤
それは、どういうことですか。
植田
とにかく、やらなくてはならないことが多かったのです。
安全対策、品質会議、生産管理、予算管理、人財育成と、仕事や山積みに。自分自身目の前の業務を必死でこなすことばかりで、周りのことが見えていなかったのです。
いつも忙しそうにしている私に、部下は期待外れと思っていたのでしょうね。
あるとき、「係長忙しそうなんで、前任係長に相談しましたから」とまで言われてしまったのです。
それに、検査係の経験不足を補おうと、欠員がでたときには自ら現場にでたりもしていました。それで部下から信頼を得られると思ったのです。
そんな作業をしているところ、上司が何度か見にきていて、「それは係長のする仕事じゃないよ」と言われました。
それまでは、私が現場で作業をすることで部下の信頼が得られると信じていました。
しかしそれを否定されてしまって、「じゃあ自分にできることは一体 何だろう」と悩みました。
斎藤
自分が正しいと思っていた部下との関わり方を否定されたのですね。
植田
これまでの自分の関わり方でないとすると、部下を動かしてシフトを組み直すといったこともしなければなりません。こんな状況で部下は私の言うことを聞くのだろうか、逆に自分が部下の立場だったらどう思うだろうか、などいろいろなことを考えましたね。
そんな時に、ちょうど良いタイミングでチームイノベーション関連のセミナーの案内があり、参加することになったのです。
そして、参加して、「ああ、自分のやっていたことはやっぱり間違っていたんだな」ということが分かりました。
(その2へつづく)