JFEスチールその1|2つのプロジェクトに取り組んだ背景とは?
「第15回第一線監督者の集い:福岡」最優秀事例賞を獲得したJFEスチール 西日本製鉄所 福山地区 制御部 熱延制御室 統括(副課長) 南部 隆治様にお話しを伺いました。
(聞き手:日本能率協会 斎藤由佳/以下敬称略、お役職はインタビュー当時)
斎藤
このたびは、「第15回第一線監督者の集い:福岡」での、最優秀事例賞のご受賞おめでとうございます。ご発表当日は、職場活性化プランと熱延台車のトラブル撲滅プランの両立を成し遂げたというプレゼンテーションをされました。あらためて伺いますが、この背景にはどのようなことがあったのでしょうか。
南部
まず簡単に私の職場について説明します。
西日本製鉄所の1つの組織として制御部があります。その下に「室」があり、さらに室の下に「職場」があります。職場の下には「グループ」があります。職場をまとめるのが作業長、作業長のもとでグループをまとめるのがリーダーです。
今回の話は、私がはじめて熱延制御職場の作業長という立場になった約5年前のときのことです。
ちょうど団塊の世代のベテラン職員が何人か退職され、私の後任のリーダーは、私より年次が10年くらい下と、職場全体が若返ったタイミングでした。
各リーダーの経験が浅いため、職場のパワーやスキルを十分に発揮できない状況でした。
新任の作業長になって数カ月間、どうやって職場を活性化すればいいのか、みんなのスキルをどうやって上げるべきなのか、いろいろと考えていた矢先に、職場で若手が怪我をするという災害が起きてしまったのです。
会社としては災害が発生すると、再発防止に向けていろいろな取り組みが始まります。
私もまだ新米の作業長でしたから、災害に関してはかなり神経質になっており、どうやって活動すればいいのかを必死に考えていました。
職場がいろいろな取り組みを進めている矢先、今度は重大なトラブルが発生したのです。
こうしたことが重なり、職場の仲間は元気をなくしていきました。
災害対策に取り組むべきなのか、それとも重大なトラブルに対処すべきなのか、どうしたらよいのか、私自身も途方に暮れました。
しかし、みんなが同じ方向を向いて取り組めるよう手を打たなければなりません。
それにはみんなのスキルやモチベーションをどう上げていくかを考えていかなければならないと思い直し、まずは、人の問題から取り組もうと決意したのです。
(その2につづく)