JFEスチールその7|トラブル撲滅までの経緯とは?
斎藤
今回の熱延台車トラブルを撲滅するために、アダプターを開発したそうですが、開発はQC活動のベテランが中心になったのでしょうか。
南部
QC活動をうちではJ1活動と呼んでいて、原因の分析から対策を決められた手順に従って進めています。
私はそのころ、会社のJ1部会に入っていたことから、そこでの経験を活かし、原因の解析から順番に進めていきました。
斎藤
それでは南部さん自身がかなりかかわっていたのですね。
南部
はい、このアダプターもベテランの意見を取り入れながら、このテーマを与えたリーダーに協力してもらって作っていきました。
斎藤
その活動にはどれくらいの期間を費やしましたか。
南部
ほぼ1年です。
これができるまでにいろいろな対策が出ていて、これが最終形になります。
最終段階でこれを作り、ようやく撲滅させることができました。
斎藤
その間に紆余曲折はありましたか。
南部
これを完成させるまでに3つか4つの施策をして失敗しました。
でも、実はこの設備がトラブルになると、操業がストップしてしまいます。
だから、あきらめることはできませんでした。
ここまでたどり着けたのは、ベテランとそのグループのメンバーがよくがんばってくれたからだと考えています。
24時間操業の工場を止めないというのは、本当に難しいことなのです。
だから、われわれ保全部門は24時間いつ電話がかかってきても対応できる態勢を取っています。
斎藤
それは日常生活からですか。
南部
土曜、日曜も含めてです。
極端なことをいうと、夜中の0時や1時でも大きなトラブルが発生すれば、会社へ駆けつけます。
私が保全に入ったときから先輩方がそうしていました。
斎藤
トラブルをなくすことを絶対にあきらめないのは、部署の共通理解ということですね。
南部
私からそういうことを口にしませんが、みんなが共通理解に従ってあきらめずに取り組んでくれています。
斎藤
職場のスキルアップとトラブル撲滅が今回の発表の2本柱だったと思いますが、その取り組みを通じて他に得られたものはありましたか。
南部
この改善は社内で高く評価され、JFEの全社大会で発表させていただきました。
その結果、優秀賞に選ばれ、米国でも発表しています。
そのときに3人ほどで米国へ出かけましたが、職場自体に改善でがんばると高く評価されることが広まり、若手の意識に変化が芽生えました。
高い評価を受けたことでみんながモチベーションを高めて日々の仕事に励めるようになったわけです。
斎藤
具体的な改善提案の数も増えたのでしょうか。
南部
このころからうちの職場が室の中で改善提案数のトップを毎年取るようになりました。
受ける賞も改善の中身によっていろいろとあり、大きな賞が金賞や銀賞ですが、それらも自職場が最も多く獲得していました。
リーダーから若手まで改善提案に前向きに取り組むようになったことが背景にあると思います。
特に若手はがんばれば評価してくれることがモチベーションを高めているようです。
(その8につづく)