JFEスチールその8|今回の取り組みで最も難しかった点とは?
斎藤
今回の取り組みで最も難しかったことはどこになるでしょうか。
南部
自分の力でできることは何とかしたいと思いますが、自分の力でできることが限られていることです。
それを感じたのは作業長の1つ前のポジションであるリーダーを務めていたころです。
自分がやりたいことを人にやらせていましたが、それでは部下がついてきませんでした。
例えば、上司や同僚、先輩らの意見を聞きながら、共感を得られたらその人を巻き込んでいくといったやり方が絶対にいいのです。
これは作業長になったころに痛感しました。
今回も1人で人材育成しようとがんばったところで周囲に響かないのが分かっていましたから、1つ上のポジションの統括や室長に相談することから始めました。
どういう教育を施すのか、どんな周期で進めるのか、私がどこまで出しゃばればいいのかなど、いろいろと考えながら提案する必要があるので、そこは苦労しました。
中でも苦労したのは教育内容です。
コミュニケーションプランも最初は若手が乗ってきませんでしたから、コミュニケーションシートを作るなど、あれこれと知恵を絞らなければなりませんでした。
私が作業長の時代に初めて女性社員が入ってきましたが、コミュニケーションシートには個人的なことも書いてありますから、セクハラにならないよう配慮するのに苦労した記憶があります。
表彰制度もみんなを喜ばせるにはどんな制度で対象をどこまで広げればいいのかなど頭を痛めた点が多々ありました。
斎藤
上司も巻き込もうと思ったきっかけはどこにあったのでしょうか。
南部
自分だけではどうにもならなくなったので、同僚の作業長に「こんなの考えているのだけど、どう思う」と相談したのが始まりで、みんなが賛同してくれたら統括に相談を持ち掛けました。
実は、リーダーになりたてのときには、ワンマン的に「君はこれやって」「君はこっちをやって」と指示していました。
監督者になりたてで非常に力が入っていたからだと思います。
しかし、結果として悪い方向に行ったものですから、自分だけではできない部分があると思っていたこともきっかけの1つでしょう。
(その9につづく)