日産自動車九州インタビューその2|ベンチマークしている工場とは?
第12回 第一線監督者の集い:福岡(旧第一線監督者の集い:九州) 企画委員の日産自動車九州 iFA推進室 現場管理推進グループ シニアスタッフ 野田安則様にお話を伺いました。日本能率協会の成富一仁がインタビューします。(以下敬称略、お役職はインタビュー当時)
ベンチマークしている工場とは?
成富
実際に皆さんが取り組んでいる活動は具体的にどんなことですか。
野田
新たな生産方式であるAPWの浸透と実践が我々現場管理グループのタスクです。
ルノーと日産はお互いの生産方式や考え方のノウハウを共有し相互に学びあい、ベストプラクティス情報の交換や総合訪問、交流を重ねてきました。
更にアライアンス効果を高める為、世界で最も競争力のある生産システムを実現する事を目的としてAPWを確立しました。
人財育成分野においては、グローバルで戦える、“和魂多才“型の人財育成に取組んでいます。
和魂とは、柔軟な対応力を持って何事にも主体的に取り組み、高いチームワークで最後までやりきる。
多才とは、事実/データに基いたロジカルな指向で多様性を発揮しながらもリーダーシップを以ってあらゆる環境においても成果を出し続ける。そんな人財育成に取組んでいます。
日本の強みだと思いますが、このAPWを浸透させ、一人ひとりが行動習慣として実践出来る状態を作る為の取り組みを我々グループが中心となって取組んでいます。
今、本当に一生懸命やらないといけないと思っているのは、製造現場を望ましい状態、所謂、管理した状態に置く事です。当たり前の事の様に思われますが、なかなか難しい日々の管理です。
一挙手一投足とよくいいますが、動作1つひとつをしっかりと標準化し、正常か異常かがすぐに分かるような状態に現場を置きたいと考えています。
そこで今、どんな小さな部分でも標準化するように努めているところです。
標準化の推進によって誰の目にも正常か、異常かが分かるようになり、
そうなることで、改善策がそこに生まれてきます。
ものづくり自体が進化するわけです。
もし、正常か異常かが分からないと、現状維持で何もしなくなり、進化することはないでしょう。
イノベーションが生まれることもありません。
だから、まずは正常か異常かが分かる状態にしようとしているのです。
各職場に入っていき、監督者のみなさんとディスカッションしながらやっています。
標準や基準が決まったら、そこにルールが発生するので、次はそのルールが守られているかをみんなで見ていき、指導していくことになります。
成富
御社はAPWという生産方式がきちんと確立していますが、APWとも上手くかみ合っているのでしょうか。
野田
そうですね、APW導入に当たっては、多くの時間を費やし、TOPから一般の従業員まで教育を行い内容の理解と浸透を図ってきました。そこで自らの業務と照らし合わせ、整合性をしっかりと取った状態で物事を決め、進めています。
成富
NPWからAPWに変わり、変わったところはありますか。
野田
基本的には変わっていません。
当社は、グローバルに事業を展開していますので、各国拠点において使用しているチェックシートや帳票に多少の違いが見られ、標準、基準を統一する際に不備がありましたので、シートや帳票を統一化したりしました。
この生産方式は、元々当社が推進してきた日産生産方式(NPW)と本質は不変でNPWの強化と位置づけられています。従って、我々にはあまり違和感なく、今までと同じような状態で活動を続けていると感じています。
成富
取り組んでいる活動に当たり、御社のグループ工場や他社の工場でベンチマークしているところはありますか。
野田
うちの中では追浜工場、横浜工場、栃木工場といったところはベンチマークしています。
当然海外工場も同様です。
その他同業他社様、それから職種は違いますが、新日鉄様や三菱マテリアル様などとも素材関係や安全の取り組み等で交流しながら、少しずつ始めているところです。
成富
新日鉄や三菱マテリアルは素材系で、ちょっと業態が違うので、意外な感じがします。
野田
異業種から学ぶ事も必要です。
当社のプレスは新日鉄様からコイルを納入し、それを成型しています。
そのような企業は材料に関して色々な取り組みをしていますから参考になります。
だから、職種によってはベンチマークする相手も少しずつ変わってくるのではないでしょうか。あとは日本能率協会から送られてくるインタビューがすごく参考になりますね。
成富
本当ですか、ありがとうございます。
野田
同業他社様、異業種様問わず、すごく勉強になりました。
特に異業種様の話は「外界指向」という点では本当に参考になります。
興味を持てば連絡を取り、話をうかがうこともできるでしょう。
そういう意味では非常に良いと思っています。
成富
見ていただいてありがとうございます。
野田
ずっと個人フォルダーの中に入れて、ためています。
うちのメンバーにも送りますから、これを見て何か気づきがあったら、現場で実践するようにしています。
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