日産自動車九州その1|意思疎通ができる職場とは?
第14 回第一線監督者の集い:福岡にて最優秀事例賞を獲得した日産自動車九州 製造部 車体課 工長 山下崇様にお話を伺いました。
日本能率協会の畑野、八尋がインタビューします。
(インタビューは2018年12月19日、お役職はインタビュー当時、以下敬称略)
畑野
第14 回第一線監督者の集い:福岡1日目の最優秀事例賞の受賞おめでとうございます。
最初に山下さんの社内での立場や役割からお聞かせください。
山下
私の役職は工長です。
期間従業員を含めて17人の部下を持ち、監督する立場になります。
私の組は車体課の車の側面部を作る部署で、主に溶接作業を担当しています。
畑野
「第14回第一線監督者の集い:福岡」で事例発表をしていただきました。発表内容について簡単にお話しいただけますか。
山下
私は今年の4月から第一線監督者になりました。
今、振り返ってみると、最初の半年間は自分が想い描いた監督像と部下との関係のギャップにストレスを抱えていたように思います。
私の部下は年代が2極化しており、年配の方と若手さらに期間従業員の方に分かれています。
休憩時間の行動を見てみても皆、携帯電話を見る時間が多く、コミュニケーションをとっている姿はあまり見かけられません。
チームの雰囲気から将来のメンバー同士の関係性に徐々に不安を覚えるようになったのです。
そこで、私自身がまず、「仕事を楽しくするためにどうすればいいのか」、そして「部下たちが仕事を楽しむには何が必要なのか」を見つけようと考えたのです。
同時に一昔前とは違う現代の監督者像の答えを探すことにしました。
職場の仲間からも本音を聞き、理想の職場に近づくためにはどうすればよいか?どういう考えを持つべきか…?
そういう過程を経て改善活動を進めたところ、職場の一体感を増すことができたのです。
その結果、現代の監督者としてのリーダーシップのカタチに気付くことができた、これが今回の事例発表の大まかな流れです。
畑野
自分がこうありたいと考える監督像とのギャップを感じていたということですが、初めにどんな第一線監督者になりたいと思い、実際にやってみたらどう違っていたのでしょうか。
山下
私は昔から理想の職場を考えていました。
「昔の家族のように何でも話せ、お互いに意思疎通ができる職場」を目指していたのです。
ですから、理想の信頼関係を築くことを第一の目標としていました。
4月から第一線監督者となって、最初は第一線監督者ならではの目標必達のプレッシャーがありました。
第一線監督者になる前はどちらかというと、個人プレーで目標を達成してきたようなところがあったのですが、監督者となってからは自分だけでなく、むしろ、仲間に動いてもらわなければなりません。
また、私が監督者となって弱い組になったと思われたくないという想いから数値目標ばかりを追いかけていたような気がします。
しかし、目標の達成はうまくいかず、想いとは裏腹にストレスばかりが増えていきました。
畑野
そこを第三者的、客観的な目で見て、行動を変えようとするきっかけはありましたか。
山下
悩み始めたころに身近な上司や先輩たちからいろいろと話を聞かせてもらいました。
そこで「山下は自分の思いが強すぎる」というアドバイスをいただきました。
私は強いリーダー像を思描いて良かれと思ってやってきたことなのですが、そこが逆に私の足りない部分だというわけです。
もう少し客観的に行動しなければいけないと考え、部下に「自分ってどう?」、「自分の組や仕事をどう思う?」と問いかけていきました。