TOTOその3|ボトルネックの改善をどう進めたか?
斎藤
メンバーとの信頼関係が築けた後、次のステップとしては、どのようなことをされたのでしょうか。
工藤
一言でいうと、現場力向上です。われわれの職場はもともとQC活動に非常に力を入れていました。
改善活動は進んでいたわけですが、実は結果が伴っていなかったのが大きな課題でした。
改善したはずなのに、残業がなくならないとか、仕事が楽になっていないといった声をよく聞きました。
そして、それは自分自身でも感じていたことなのです。
上司に相談したところ、制約理論のマネジメントセミナーを紹介されました。早速受講し、制約理論をベースにしたボトルネックの改善について学びました。
工程のボトルネックがどこにあるのかをみんなで探し、それを改善するためにどうしたらいいのかを考えるのです。
職場に持ち帰ってリーダーを集め、勉強会を開催しました。
自工程を分析してみると、ある工程で仕事が停滞、作業時間が長い、トラブルが多いことがわかりました。
そこで、ボトルネック工程ではない工程の人員をボトルネック工程へ移動させ応援してもらったところ、残業がなくなり定時に帰れるようになったのです。
ただボトルネック工程を助けただけといった小さなことではありますが、職場として大きな達成感を共有することができました。
それも、職場のチームワークが潤滑だったからうまくいったといえるのですが。
斎藤
それはどういうことですか。
工藤
メンバーが全体最適で考え出した、ということです。
例えば、工程の中のボトルネックが月に1回しかラインを流れなかったら、それを改善したところで残業がなくなるはずがありません。
そこで、売れ筋で毎日ラインを流れる商品のボトルネックを探し、全体を適正化しようという考え方に変えていきました。
ボトルネックの改善はみんなが理解していましたが、やるべきことが部分最適か、全体最適かを考えるようにしてきいました。
そういうことを自分の役割だけで考えていたら、どうしても部分最適に陥ってしまうでしょう。
それを避けるには、自分だけでなく周囲を見て、全体の目標を意識する必要が出てきます。
メンバーに信頼関係があるからこそ、こうした考え方ができるようになっているのだと感じています。
(その4へつづく)