トヨタ自動車インタビューその3|若手に伝えたかった思いとは?
好きなことを仕事にできる人は少ない。しかしやるからには、仕事を愛し、誇りを持てなければ意味がない。
第34回第一線監督者の集い:名古屋 最優秀事例賞受賞者のトヨタ自動車株式会社 上郷工場 梶原睦さん(第1エンジン製造部 第12エンジン製造課 チーフリーダー)、田上博幸氏さん(第1エンジン製造部 第12エンジン製造課 課長)に日本能率協会事務局(JMA)がお話を伺いました。(以下敬称略、お役職はインタビュー当時)
若手に伝えたかった思いとは?
JMA
今回の受賞を、今後のご自身にどのように活かしていこうとお考えですか?抱負をお聞かせください。
梶原
受賞はとてもうれしかったですし、多くの方々に共感、評価されたことは自信になりました。また他社様の発表を聞く中で、監督者としてのあり方に大きな刺激を受けました。
私がやってきた、若手やメンバーに成功体験を味あわせるという活動は、今後も続けたいと思っています。仕事に誇りを持てることはすばらしいことですし、そうした若手、メンバーをさらに増やしていきたいです。
JMA
かつて、ご自身が会社を辞めたいと考えた時期もあったということで、今の若い人たちに前向きに取り組んでもらいたいという気持ちが強いのですか?
梶原
なかなか好きなことを仕事にできる人は少ないですからね。ただ、やる以上は、自分の仕事は楽しく、誇りが持てるようになりたい、と私は考えていますので、部下にも同じ思いをもってほしいと思います。
同じ目線で課題に挑戦し、解決に導いて成功体験を味わわせる。それが第一線監督者の真骨頂。
JMA
今回、梶原さんを「第一線監督者の集い」へ発表者としてご推薦された一番のポイントはどこでしたか?
佐藤
QCサークルというものは、若手が盛り上がらないとうまくいかないんですよね。その点、彼は若手のモチベーションをうまく上げていると思います。
また今回、若手を育てながらPDCAを回す仕組みをつくって、サークルを活性化させる部分がかなり勉強になったのだと思います。それを今後、若手だけでなく中堅社員や工長に継承してもらえればいいかなと思います。
田上博幸氏(以下「田上」)
私が感じたのは、彼の働きぶりを見ていて、若手とのコミュニケーションの取り方がとても上手で、若手をやる気にさせているということです。
各自に目標を立てさせて、ただやれと言うのではなく、同じ目線で現場を見て、解決策を見つけて成果を出して達成感を味あわせるという進め方や、コミュニケーションの取り方が上手で、この大会への人選の話が来たときには適任だと思いました。
JMA
若手やメンバーとのコミュニケーションで気をつけていることはありますか?いろいろなタイプの方がいらっしゃると思いますが?
梶原
誰かを特別扱いはしないようにしています。偏らずみんなに声かけするようにしています。
私がこういう性格なので、明るいノリでいくのですが、中には反応が悪い人もいます。しかし話しかけてみると、いろいろなアイデアを持っているので、そこを引き出せるように心がけています。
元気な人、大人しい人などいろいろなタイプの人がいますから、その性格などを考慮しながら声をかけるようにしています。
JMA
梶原さんには、まずは相手をきちんと認めるという姿勢、誠実さが感じますね。そのうえで、相手のいいところやアイデアなど、何かを引き出そうということですか?
梶原
その部分は意識しています。いろいろな考えがあって、そこから創意工夫提案につながっていきますから。結構大人しい人でも、意外に創意工夫をしっかり書いてくることがあります。
会社としても話し合い制度を設けているので、部下個人とは、今の職場の領域を拡大したいのか、深堀したいのか、どのポストを目指しているのなどを踏まえた上で、面談するようにしています。
私の下には組長や班長がいて、その下ではいろいろなことがおこりますので、ケアやフォローは心がけています。
今回の発表に寄せられたたくたんの質問状。4Sへの関心の高さを実感
JMA
今回、最優秀事例賞を受賞されて周りの方の反響などはいかがでしたか?
梶原
最優秀事例賞ということで、社内QCサークル発表時に今回の発表をしてくれということは言われています。今後、そうした発表の機会が増えるのかな?と(笑)。
家族からは会場で発表を聞いてみたかった、と言われました。
さらに来年は東京の「ものづくり総合大会」で発表を行うようですね。今回の大会では質問票を200通ほどいただき、4Sの時間に関する質問を多くいただきましたので、次回はそれを織り込もうかと考えています。
JMA
最後に、「第一線監督者の集い」に対してご意見やご要望などはございませんか?
梶原
今回、他社様のご苦労されたところを聞けたのは、自分の財産になったと思います。
もっとこの大会の認知度が高くなると、さらに達成感が出るのではないでしょうか。
今回、実は賞をとろうという意識があまりありませんでしたが、賞をいただけて大変光栄に思っております。他社様の発表の中には、「先輩がここで発表したから自分もここを目指した」という話がありましたが、自分たちにはそうした意識がなかったな、と(笑)。
JMA
前回の最優秀事例賞受賞された同じくトヨタ自動車 伊藤様は、設計部門からの参加でした。本大会には生産部門の方が出るべきで、自分のような設計部門の者が発表していいのだろうかといった戸惑いがあったようです。
しかし、“第一線監督者”はチーム組織のリーダーですので、開発・生産等の部門を問わず、リーダーが、困難な問題、課題の解決のために、メンバーのモチベーションを高めながら周りを巻き込み、いかにして苦難を乗り越えてきたのか、改善に取り組んできたかという実践活動と、人の成長模様を聞きたいという方々の集いの場です。
今回、基調講演いただいた貴社 元町工場 工場長 常務理事 二之夕様からも「モノづくりは人づくり」とのお話をいただきました。その中核に立つのが“第一線監督者”だということを、さらにアピールしながら大会を盛り上げていこうと思います。
梶原様のこれからのますますのご活躍を祈念しております。
本日は、お忙しいところありがとうございました。
一同
ありがとうございました。
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