(福岡)企画委員交流会その3 ~自主的な改善活動が生まれる鍵はどこに?~
コベルコ建機 生産本部 広島事業所 事業所長 田川 博文 様と「第18回第一線監督者の集い:福岡」にて最優秀事例発表賞を受賞された広島事業所 五日市製造室 班長 川本 強様に当企画委員の相互交流会後(コベルコ建機様ご訪問)、意見交換を実施しました!
(※以降敬称略、所属・役職は2023年9月29日時点)
質問者C
受動的な改善ではなく、現場が自主的に改善活動を進めるために講じた施策があったら是非教えてください。
田川氏
ひとつは場づくりですね。
社長、本部長など組織のトップが実際に現場を訪れ改善を見る。
トップの前で改善の成果を発表する改善報告会を設け、褒められる機会を作りました。
こうした成功体験が得られる場づくりを繰り返し仕掛けました。
もうひとつはインセンティブです。
金銭的な側面も合わせ技で取り入れ、最近はボーナスの査定にも組み込むべく推進しています。
「5つ星制度」と名付け、改善活動を通じて星を獲得することで査定評価のポイントが上がる仕組みです。
人事制度には直接関与しませんが、評価の過程で改善ポイントが反映される体系を改善推進グループが作りました。
現場と改善推進グループで意見交換を重ね、現実的な運用ができる仕組みを作り上げ、効果的に機能していると思います。
質問者C
改善活動に積極的に取り組むメンバーを増やすことも大切ですよね。
田川氏
通信速度の速さを表す「5G」に「5ゲン主義」をかけて「5G(ファイブジー)」と名付けた改善活動報告会を月に一度開催しています。
本部長も出席する当該報告会での発表も星獲得のチャンスです。
全班が5つ星を目指し、率先して参加しています。
現場の意識付けが進み、評価を得る喜びを班長は感じているようですね。
その喜びが班員まで伝播し活動メンバーを増やすことが今の課題です。
川本の次世代にも期待しています。
質問者H
報告会に参加したいと思わせるコツはありますか?
田川氏
恐らく発表メンバーは「報告会に行ってこい」と上席者から言われている面もあるかとは思います。
しかし行けば「発表して良かった」と思える。成功体験を通じた経験値の向上が大切だと考えています。
質問者E
改善など職場を良くする活動はプラスアルファの要因です。定時内で決められた仕事だけしていれば給料はもらえます。
田川氏
それが今の働き方の一つの潮流でもありますよね。
質問者E
現状に安住する大多数に対して改善を定着させるためには何が必要でしょうか?
田川氏
就業時間内に改善活動ができるとよいと思っています。
質問者E
限られる作業時間内でいかに改善に充当する時間を捻出するのでしょうか。
田川氏
「この日はここでラインを止めて改善時間に充てよう」との判断が必要ですね。
質問者E
生産計画に影響が出ませんか?
田川氏
生産計画を立てる部署も私の管轄ですので、予め改善日を決め対応できる面も大きいかもしれません。
もちろん定時後に改善活動に取り組む時期もあります。
定時内の改善活動により残業が異常に増える事態は避けるべきですが、生産負荷の下がる時期は時間内の改善も然るべしと考えています。
質問者E
改善意欲のある人員を増やすのは容易ではありませんよね。
田川氏
時間外の改善活動は任意のため、帰宅するメンバーもいます。
班長とラインリーダーを中心にあと数人でもやる気あるメンバーを増やすには、残業ではなく拘束時間内に活動できるよう仕掛ける必要があるでしょう。メンバーに寄り添った体制を提供し、かつ成果も求める。
そのメリハリが大切なのではないでしょうか。