TOTOその1|よかれと思ってやったことが部下の反感に
「第15回第一線監督者の集い:福岡」最優秀事例賞を獲得したTOTO エレクトロニクス技術本部 電子機器製造部 電子機器製造課 ライン工程組長 工藤輝邦様、工藤様の上司で電子機器製造課 係長の豊久英史様にお話しを伺いました。
(聞き手:日本能率協会 斎藤由佳/以下敬称略、お役職はインタビュー当時)
斎藤
このたびは、「第15回第一線監督者の集い:福岡」での、最優秀事例賞のご受賞おめでとうございます。ご発表当日は、個人の力、職場の力、そして課全体の力向上に向け、ステップバイステップで取り組まれたというプレゼンテーションをされました。
あらためて伺いますが、この背景にはどのようなことがあったのでしょうか。
工藤
まず、私の職場と自分の役割について説明します。
私の勤める電子機器製造課ですが、TOTOのトイレや自動水栓などの電子基板を生産しています。
4つの組があり、1つは検査・部品庫組。部品の受け入れや入出庫を担います。2つめは自動機組。小さい部品を機械実装します。3つめがライン組。機械で実装できない部品を人の手で実装します。4つめがセル組。実装された基板を組立てます。
今回の取り組みは、私がライン・セル工程の新任組長に抜擢され、はじめての職場で奮闘した出来事です。
この職務に就く前は、長らく自動機工程組におりました。自動機工程は、設備をいかに効率的に稼働させるかが命題。メンバーも少人数で男同士ということもあり、コミュニケーションもとりやすく、効率的に仕事を進められていたと思います。
しかし、そんな私が、ライン・セル工程に移ってきました。全36人のメンバーのうち男性は私だけで、あとは女性。私を支えてくれるリーダー、サブリーダーともに私より勤続年数も人生経験も長い。
ただ、私自身はプライベートで野球やバレーボールの監督をしていたこともあり、人をまとめるのを得意としてきたので、やる気は十分で、積極的に行動していました。
斎藤
どのようなことをされたのですか。
工藤
初めての工程でしたので、作業をすべて把握するため、欠員があったときなどは積極的に現場に入って作業フォローをしました。
メンバーとはコミュニケーションもとれ、よかったと思っていたのですが・・・・・・。
斎藤
よくなかったのですね。
工藤
はい。リーダーやサブリーダーにとっては、不満だったようです。勝手に動く、相談がない、話してくれない、とさんざんでした。
逆にこちらが業務多忙で助けてほしいときは、「なんで私がしなきゃいけないの」「いつもみたいに好きにすればいいのに」と受け入れてもらえませんでした。
よかれと思ってやっていたことが、逆効果だったと落ち込んでいた私は、上司である豊久係長に相談しました。
係長からは「お前らしさを出していけ」と。自分らしさとは何だろうと、これまでの自分の行動を振り返ったんです。
(その2へつづく)